役立つ知識
アトピー性皮膚炎について①〜まずは知ろう!基本の知識〜
アトピー性皮膚炎とは?
アトピー性皮膚炎は、強いかゆみを伴う慢性的な皮膚の炎症(湿疹)です。 良くなったり(寛解)、悪くなったり(増悪)を繰り返すのが特徴で、乳幼児から大人まで、幅広い年齢層で見られます。
ご自身やご家族が、喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎などのアレルギー疾患(アトピー素因)を持っていることが多いのも特徴です。
どんな症状が出るの?
最も重要な症状は「乾燥」と「かゆみ」です。皮膚の状態は、炎症の時期や年齢によって異なります。
• 急性期(悪化した時):
o かゆみの強い赤いブツブツ(丘疹)
o じゅくじゅくして体液が出る(浸出液)
o かさぶた
• 慢性期(症状が落ち着かない時):
o 皮膚がカサカサして乾燥する(鱗屑)
o 引っ掻き傷(掻破痕)
o 長期間かくことで、皮膚がゴワゴワと厚く硬くなる(苔癬化)
年齢による症状の出やすい場所
• 乳幼児(0~2歳):
o 顔(特に頬)、頭、耳
o 手足の伸ばす側(肘や膝の外側)
o (おむつが当たる部分は比較的きれいなことが多いです)
• 小児・思春期(2~16歳):
o 皮膚の曲がる部分(肘の内側、膝の裏側)
o 首、手首、足首
• 成人:
o 小児期と同様に曲がる部分
o 顔、首、手、胸、背中など、全身に広がることもあります。
※皮膚の色が濃い方の場合、赤みがピンクや赤ではなく、暗褐色や紫色に見えたり、炎症が治った後に色素沈着(黒ずみ)や色素脱失(白斑)が目立ちやすかったりする特徴があります。
どのくらいの人がなっているの?
アトピー性皮膚炎は、世界中で非常に多くの人が悩んでいる病気です。
• 子供:世界中の子供の5~20%以上が発症すると言われています。
• 発症時期:ほとんどのケース(約85%)は5歳までに発症します。
• 経過:子供の頃に発症した人の約半数が、成人してからも症状が続くことがあります。
どうやって診断するの?
主に医師による診察で診断されます。以下の特徴を総合的に見て判断します。
1. かゆみがあること
2. 特徴的な皮膚症状(湿疹の見た目や分布、年齢による違い)
3. 慢性的(長く続く)、または繰り返す経過
多くの場合、診断のために血液検査(アレルギー検査など)や皮膚の検査は必須ではありません。ただし、他の似た病気(かぶれ、乾癬など)と見分ける必要がある場合に、検査を行うことがあります。
注意したい合併症
皮膚のバリア機能が低下しているため、細菌やウイルスに感染しやすくなります。
• 細菌感染(とびひ):
o 黄色ブドウ球菌などによって起こります。
o じゅくじゅくしたり、黄色いかさぶたができたり、急に悪化したりします。
• ウイルス感染(カポジ水痘様発疹症):
o 単純ヘルペスウイルスによって起こります。
o 急に小さな水ぶくれ(時に中央がくぼむ)が広がり、発熱や痛みを伴うことがあります。
o すぐに医療機関を受診してください。